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SMのセーフワードとは?決め方と例、声が出せないときの合図

書き手:真柴 渉(トビラの会 カウンセラー)

SMのセーフワードとは、「本当にやめてほしい」を相手に確実に伝えるために、会う前に二人で決めておく合図の言葉です。ふだんの会話では使わない短い言葉を選び、声が出しにくいときのために手で出す合図もあわせて決めておきます。そして、合図が出たら理由を問わずすぐにやめる。この約束までがセーフワードです。

「どんな言葉にすればいいのかわからない」「言ったら、相手をがっかりさせてしまいそう」「声が出なかったらどうしよう」。初めての方からは、こうしたご相談をよくいただきます。セーフワードは、決め方と使い方を知っておけば、怖さをずいぶん小さくしてくれるものです。

この記事では、セーフワードの意味、言葉の例と選び方、二人で決める手順、声が出せないときの合図、言われた側の止め方、そしてセーフワードを守らない相手の見分け方までをお話しします。SMを始めること全体の流れは初めてのSM体験|SMしたい初心者の始め方と安心できる相手の探し方に、プレイの種類と前提はSMプレイとは?種類一覧と初心者の始め方にまとめていますので、あわせてご覧ください。

SMのセーフワードとは?意味と、「やめて」では足りない理由

セーフワードは「本当にやめてほしい」を伝える約束の言葉

セーフワード(英語では safe word)は、主に受け手の側が「ここで止めてほしい」と伝えるための言葉です。SMは、お互いの合意のうえで役割を楽しむ関係です。その合意を、始めたあとでもいつでも取り消せるようにしておく仕組みがセーフワードだと考えてください。

「やめて」「痛い」がセーフワードに向かない理由

SMの時間の中では、「やめて」「許して」「痛い」といった言葉が、雰囲気の一部として出ることがあります。そのため、相手には本当の気持ちなのか、そうでないのかが区別しにくいのです。ふだん使わない言葉を合図にしておけば、聞いた瞬間に「これは本気だ」とわかります。迷う余地をなくすことが、セーフワードのいちばんの役目です。それでも本気かどうか迷ったときは、いったん手を止めて確かめてください。

セーフワードを決めるのは、弱さではなく信頼のため

「セーフワードを決めるのは、相手を疑っているようで気が引ける」という方もいらっしゃいます。けれど実際は逆です。いつでも止められるとわかっているから、安心して相手に委ねられる。セーフワードは、二人の信頼を形にしたものです。私は、SMの先にあるのは心が満たされることだと考えています。その土台になるのが、この約束です。

セーフワードの例|よく使われる3つの型と選び方

セーフワードの決め方に、ひとつの正解はありません。よく使われるのは次の3つの型です。初めてのうちは、いちばん単純な「単語の型」から始めると迷いません。

型言葉の例向いている方気をつけること
単語の型「みかん」「とけい」など、ふだんの会話やSMの時間に出てこない言葉をひとつ初めての方。覚えることが1つで済む言いやすく、聞き間違えにくい短い言葉にする
信号の型「黄色」=少し弱めて・確かめて、「赤」=すぐやめて止めるほどではないけれど伝えたいことがある方二人とも意味を取り違えないよう、始める前に声に出して確かめる
小休止をはさむ型「ひと息」=いったん休みたい、「みかん」=やめて中止の言葉を言うのに気が引ける方小休止の言葉でも、すぐに手を止めることを約束しておく

いいセーフワードの5つの条件

  • ふだん使わない:日常の会話やSMの時間の中で、うっかり出てこない言葉
  • 短い:2〜3音で言い切れる言葉。緊張していても口に出せます
  • 聞き間違えにくい:ほかの言葉と音が似ていないもの
  • 二人とも覚えられる:受け手だけでなく、する側も忘れない言葉
  • 言うときに気恥ずかしくない:凝りすぎた言葉より、ためらわずに言えるもの

セーフワードに避けたい言葉

「やめて」「無理」「痛い」のように雰囲気の中でも出る言葉、相手の名前、長い文は避けましょう。どれも、本気なのかどうかが伝わりにくかったり、とっさに言えなかったりします。

セーフワードの決め方|会う前に二人で決めておく5つのこと

セーフワードは、言葉を1つ決めて終わりではありません。「合図が出たら、どうするか」まで決めて、はじめて役に立ちます。話し合うのは、SMをする当日の直前ではなく、会う前の落ち着いた時間にしてください。初めて会う日は、SMをしない「話すだけの日」にして、そこで決めるのもよい方法です(SMの相手との初対面が怖い女性へでもお話ししています)。

決めること話し合いの例
1.やめる言葉「みかん」と言ったら、すぐにやめる
2.声が出せないときの合図相手の体か床を続けて3回たたく。手に持った物を落とす
3.小休止の合図(使うなら)「ひと息」で手を止めて、様子を確かめる
4.合図が出たあとにすること手を止める、体を楽な姿勢にする、声をかける。理由は聞かない
5.その日に再開するかどうか「やめる言葉」が出た日は、その日はもうしない、など

始める前に、もう一度声に出して確かめる

決めた言葉と合図は、当日始める前にもう一度、二人で声に出して確かめましょう。「今日の合図は『みかん』と、続けて3回たたく、だよね」。このひと言があるだけで、受け手は「言っていいんだ」と思えますし、する側も聞き逃しにくくなります。

一度決めても、毎回見直してよい

同意は、そのつど確かめるものです。セーフワードも同じで、「前回はこれだったから」と決めつけず、言いにくかった、合図が出しにくかったと感じたら、次の話し合いで変えてかまいません。してみたいこと・したくないことの伝え合い方は、SMプレイとは?種類一覧と初心者の始め方の「SMプレイを始める前に二人で決めておくこと」もご覧ください。

声が出せないときの合図|言葉以外のサインの決め方

セーフワードを決めていても、いつも声に出せるとは限りません。緊張すると思ったように声が出ないこともありますし、手首を軽く拘束するなど、体を自由に動かしにくい場面もあります。だからこそ、言葉と一緒に、体で出せる合図を必ず決めておきます。

手で出す合図|続けて3回、はっきりと

よく使われるのは、相手の体や床、ベッドなどを手で続けて3回たたく合図です。1回や2回だと、たまたま手が当たっただけと見分けがつきにくいため、「続けて3回」のように回数を決めておくと伝わります。手を握って開くのをくり返す、という合図もあります。

手が使いにくいときは、握った物を落とす

手首を拘束しているときは、たたく合図が出せないことがあります。そうした場面では、手の中に何かを握っておき、それを落としたら合図、と決める方法があります。落としたときに音がするものや、目で見てすぐわかる大きさのものを選びましょう。小さな物は、落ちても気づかれにくいので向きません。

目隠しをしているときは、する側が見落とさない合図に

目隠しをしていると、受け手は相手の様子が見えません。受け手が見えないままでも出せる合図であること、そして、する側が見落とさない合図であることの両方が大切です。首を大きく横に振る、のように動きの大きい合図を決めておくと、気づいてもらいやすくなります。

合図は「本当に出せるか」を始める前に試す

決めた合図は、始める前に一度、実際に出してみてください。その姿勢で手が届くか、握った物を落とせるか、相手から見えるか。実際に出せない合図は、決めていないのと同じです。合図が出せないような強い拘束や長い時間は、初めてのうちは選ばないことも大切です。

セーフワードを言われたら|する側の止め方と、そのあとの声かけ

セーフワードは、言う側だけの約束ではありません。言われた側がどう応えるかで、二人の信頼は大きく変わります。合図が出たら、次の順で応えてください。

  1. すぐに手を止める:途中でも、言いかけでも止めます。「あと少しだけ」はしません
  2. 体を楽にする:拘束や目隠しを外し、楽な姿勢に。寒くないか、苦しくないかを確かめます
  3. 「言ってくれてよかった」と伝える:合図を出したことを、まず受け止めます
  4. 理由を問いつめない:「どうして?」「大げさだよ」は言いません。話したくなったときに聞けば十分です
  5. その日は無理に続けない:落ち着いてから、次はどうするかを二人で話します

終わったあとの体と気持ちのケアも、セーフワードと同じくらい大切です。アフターケアについても、二人で前もって話しておきましょう。

合図を待つだけにしない|する側からも、ときどき確かめる

セーフワードがあるからといって、受け手が言い出すのを待つだけでは足りません。する側から「大丈夫?」「このくらいで続けていい?」と、ときどき確かめてください。表情や呼吸、体のこわばりに目を配るのも、する側の役目です。受け手が合図を出す前に気づけることも、少なくありません。

セーフワードを言いにくいと感じる方へ

「せっかくの雰囲気を壊してしまう」「言ったら嫌われるかもしれない」「経験がないと思われそう」。セーフワードを決めていても、いざとなると言いにくいと感じる方は少なくありません。特に初めての女性からは、こうしたお気持ちをよくうかがいます。

けれど、セーフワードを言えたことは、失敗ではありません。二人の約束が、きちんと守られたということです。言いにくさを小さくするために、次のような工夫があります。

  • 小休止の言葉を用意する:「やめて」まで言うのに気が引けるなら、「ひと息」のような軽い合図から使えるようにしておく
  • 「使っても責めない」と先に約束してもらう:話し合いのときに、相手の口から言ってもらうと安心できます
  • 最初は短い時間で終える:「今日はここまで」をあらかじめ決めておけば、途中で止める場面そのものが減ります

女性が初めてSMを体験する前の準備は、女性がSMを初めて体験する前にでもお話ししています。

セーフワードを守らない相手の見分け方|会う前にわかるサイン

セーフワードは、相手が守ってくれて、はじめて意味を持ちます。会う前のやりとりや話し合いの段階で、次のような様子が見えたら、その相手とは体験しないことをおすすめします。

  • セーフワードやNGの話し合いを、面倒がる・はぐらかす
  • 「信頼してくれれば、セーフワードなんていらない」と言う
  • あなたが決めたNGや合図を、笑ったり軽く扱ったりする
  • 初めて会う日から、SMをすることや二人きりの個室を求める
  • お酒を強くすすめる
  • 「やめて」と伝えたことに不機嫌になる、言い返す

セーフワードがあっても防げないこと

セーフワードは万能ではありません。お酒が入っていたり、体調がすぐれなかったりすると、合図を出す判断そのものが鈍ります。持病やけがは事前に伝え、体調のよくない日やお酒が入っているときはしない。弱い力・短い時間から始める。こうした基本と組み合わせて、はじめてセーフワードは役に立ちます。スパンキングの場合の体の安全については、スパンキングパートナー募集の「会う前にパートナーと話し合っておきたいこと」にまとめています。

セーフワードを話し合える相手と出会うには|仲介型のトビラの会

セーフワードを決めることと同じくらい大切なのが、「この約束を守ってくれる人かどうか」です。けれど、掲示板やアプリで知り合った相手が本当はどんな人なのかを、会う前にひとりで見極めるのは簡単ではありません。

トビラの会は、SMやドミサブに関心のある20歳以上の方どうしを、事務局が間に入ってご紹介する仲介型のマッチングサービスです。2010年頃から活動しており、登録会員数は延べ4,700名以上(2026年9月時点)です。

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面談は、手間に感じるかもしれません。けれど私どもは、面談を「安全のための入口」だと考えています。お相手も入会前に面談を受けた方である。そのうえで、セーフワードやNGを落ち着いて話し合える。それが、初めての一歩を安心して踏み出すための近道です。

女性は入会金・年会費ともに無料です(くわしくはM女性のご入会案内)。男性の料金はご入会案内をご覧ください。※お約束のキャンセルや無断での不参加など、会員規約(トビラの会)に定める場合には違約金をいただくことがあります。

SMのセーフワードについてよくあるご質問

Q. セーフワードは、どんな言葉にすればいいですか?

A. ふだんの会話やSMの時間に出てこない、短くて言いやすい言葉がおすすめです。「みかん」のような身近な単語や、「赤」=やめて・「黄色」=少し弱めて、のような信号の言葉がよく使われます。「やめて」「痛い」は本気かどうかが伝わりにくいので避けましょう。

Q. 声が出せないときは、どうやって伝えればいいですか?

A. 言葉と一緒に、体で出せる合図を決めておきます。相手の体や床を続けて3回たたく、手に握った物を落とす、首を大きく横に振る、などです。始める前に一度、その合図が本当に出せるかを試しておいてください。

Q. セーフワードを言ったら、その日はもう終わりですか?

A. どうするかは、事前に二人で決めておきます。初めてのうちは「やめる言葉が出た日は、その日はもうしない」と決めておくと、受け手も迷わずに言えます。いったん休みたいだけのときのために、小休止の言葉を別に決めておく方法もあります。

Q. 恋人や夫婦でも、セーフワードは必要ですか?

A. はい、必要です。信頼している相手でも、SMの時間の中では「やめて」が本気かどうか区別しにくいのは同じです。恋人や夫婦でSMを始めるときの話し合い方は、夫婦・恋人でSMを始めたいときの伝え方でお話ししています。

Q. セーフワードを決めようとしない相手とは、どうすればいいですか?

A. その相手とは、SMを体験しないことをおすすめします。セーフワードの話し合いを嫌がる、軽く扱うといった様子は、あなたの「やめて」を大切にしてくれないサインかもしれません。トビラの会では、お相手へのお断りは事務局からお伝えします。

まとめ:セーフワードは「決める・試す・守る」までが約束

SMのセーフワードは、ふだん使わない短い言葉を、会う前の落ち着いた時間に二人で決めます。声が出せないときの合図もあわせて決め、始める前に声に出して確かめ、実際に出せるか試しておく。合図が出たら、理由を問わずすぐにやめ、言ってくれたことを受け止める。ここまでがひとつの約束です。

そして何より大切なのは、この約束を一緒に守ってくれる相手と出会うことです。「この人になら心を開いてもいい」と思える相手と出会えるように、私どもがお手伝いします。SMを始めるまでの流れはSM初心者の始め方もあわせてご覧ください。まずはお話を聞いてみるところからでかまいません。

この記事を書いた人:真柴 渉(ましば しょう)
トビラの会 カウンセラー。SM・ドミサブの嗜好を持つ方の面談とご紹介を担当。パートナー成立・ご成婚多数。安全を最優先に、心の相性を大切にしたご縁づくりをお手伝いしています。