世の中で一般的に知られているSMの定義はどこか画一的でどうもしっくりこない。

氾濫している情報・商業的な雑誌やサイトの存在が、ややもすると間違った認識を植えつけているような気がしてならない。

一番多いのが、Sの男性はMの女性に対しどんな行為でもすることが出来て、Mの女性はそのすべてに喜んで従うという間違った認識・・・。

SだろうとMだろうと、自分の本質に気が付いたきっかけはそれぞれ違うはずで、だからこそその嗜好も人によって違う。

もちろんMの女性で、命令され従順に従うことに喜びを感じる女性もいるだろう。ただそれも、相手が誰でも良いという訳ではない。尊敬や信頼できるパートナーだからこそ、その空間と時間に身を置くことが出来るのだ。

SMは暴力でも一方的な自己満足でもない。

緊縛が好きで縛られて初めて心が解放される方、緊縛よりも軽い拘束や羞恥を好む方等、本当に千差万別だ。だからこそ、相手の心の声に耳を傾ける必要があるのだ。

その結果、嗜好が違ったり、フィーリングが合わなかったりしても、それは仕方の無いこと。お互い妥協せず、新たな出会いに期待して前に進めば良いのである。

「トビラの会」の存在意義は、まさしくそのためにあるといっても過言ではないだろう。

以前のコラムで運営者の方が「サービスS」という言い方をされていたが、まさしくその通りだと思う。SMのSは、サディズムよりもサービスが前提にあると言って良い。

SMの世界の中で、ある種の行為によって相手が心を開放して本当の自分に向き合える・・・

その喜びを自分の喜びに変えられる・・・・それが本当のSでなないだろうか。

執筆:会員S様
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